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さいたま市北区のK様より屋根塗装と外壁塗装、コーキングの打替、バルコニー防水トップコートの見積ご依頼を頂きました。大変有難うございました。
K様は7年前に工事をさせて頂いた浦和区のT様からのご紹介です。T様からはその後、2軒ご紹介頂き、今回で3軒目になります。T様、大変有難うございました。
早速現状調査に伺いました。環境の良い住宅地に立つ築17年の2階建てで初めての塗装工事です。
屋根はスレート瓦で層間剥離を起こしていました。棟板金は釘浮きやジョイントの隙間も見られました。
層間剥離というのは何重にも重なっている層が分離して膨らんでしまった状態の事です。それぞれの層が薄くなってしまっているためバリバリに割れていました。
これはとても厄介でシーベースの技術力ならば塗装でも可能ですが、通常は葺替が必要になる案件です。
釘浮を放置したり、ただ打込んだだけだと徐々にまた抜けて来ます。すると雨水が釘を伝って板金内部の貫板(厚さ約12mmの杉板)に染み込み木を腐らせてしまいます。棟板金のジョイントでは折り曲げ加工部分がきちんと咬み合わせがされていなかったので浮いてしまっている箇所が有りました。これ等の箇所は強風に煽られて棟板金そのものが捲れたり飛ばされたりする事が有るので注意が必要です。
ジョイントの隙間からも雨水は侵入します。この部分からの雨水はスレート瓦の下のアスファルトルーフに流れてしまいます。
アスファルトルーフィングというのは紙にアスファルトを染み込ませ雨もりを防ぐための物で防水紙や防水シート等とも言われています。屋根瓦の下に敷き屋根瓦が欠けたり強風で雨水が屋根瓦の隙間から下に落ちてもその下の野地板(屋根瓦を乗せるための板)に雨が染み込む事を防ぎます。
ただ一般的な住宅等で使用されている物は寿命が7~8年の物が多く、経年劣化でアスファルトが蒸発してしまい、ただの新聞紙の様になってしまいます。こうなると侵入した雨水はその下の野地板に染みて腐れの原因になります。
鼻隠はセメント板でジョイント部分に隙間が見られました。ここから雨水が侵入すると内部に溜った湿気によるカビ等が発生する場合があります。そうするとケイ酸カルシウム板の軒天から湿気が抜け出ようとして黒ずみが出てきます。
外壁は2種類の窯業系サイディング(セメントと繊維質、混和材を主原料にして練り、板状に圧縮形成した物)でした。
外壁は2パターンが有り、1つは模様のきれいな意匠サイディング、もう一つは凹凸の有るサイディングでした。今の時点なら意匠サイディングにクリア塗装(透明な塗料を使用して元の風合いを損なわぬ様に塗装する方法)が可能ですが、もう1.2年遅いと経年劣化で退色や変色、汚れの染み付き等でクリア塗装が出来なくなる場合が有ります。
外壁は釘で胴縁に固定されているのですが大変困った事に釘の周囲の外壁が何か所も割れており、外壁が下地から浮いてしまっていました。このままでは強風に煽られて外壁が剥がれ飛んでしまう恐れが有ります。
胴縁というのは外壁材を固定するための下地材のことで、角材や板状です。柱や間柱(柱と柱との間に入れる垂直材)との間に300~455mmの間隔で入れるのが一般的です。
胴縁には、垂直方向に入れるものを縦胴縁、水平方向に入れるものを横胴縁があります。こちらのお住まいでは縦に入っていました。外壁はかなり脆くなっていますが、きちんと留めなければなりません。もう片方は単色のサイディングでした。
外壁のジョイントコーキングは全滅していました。ほとんどの箇所でひび割れや剥離が起こっていました。
バルコニーはFRP(繊維強化プラスチック)防水床は隅々までチェックしましたが基材に問題は有りませんでしたが、表面のトップコートは寿命が来ており、ひび割れが目立ちました。
樋も変色やジョイント部分に隙間が有り雨水が流れ出た痕が見られました。材質そのものも脆くなって来ていました。これは加水分解によるものです。加水分解と言うのは水と反応して分解を起こしてしまう事で、空気中の窒素、紫外線、微生物、空気に含まれる水分等で起きてしまいます。
シャッターボックスや水切等の鉄部も表面の塗装膜の劣化が進んでいました。基礎から出ている塩化ビニール配管周りはシーリングがされていませんでした。シーリングというのは竣工時にはもちろん、経年劣化や建物が歪んだ時にできる隙間や穴、ひび割れ等が生じて雨水が侵入し易い箇所をコーキング等で埋めて塞ぐ事です。
この部分から雨水が侵入してしまうと内部はベタ基礎(建物の底面全体に鉄筋コンクリートを流し込んだ基礎の事)に雨水が溜ってしまい湿気が抜けにくくなってしまいます。
全体的に大分劣化が進んでいました。虫歯に例えると表面のエナメル質が傷んで、象牙質も浸食され神経まで侵されている状態でした。できるだけ早く補修した方が良いと思います。
見積書の作成に1週間位頂きたいと思います。宜しくお願いします。