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さいたま市西区のS様より屋根塗装と外壁塗装、コーキングの打替、バルコニーの防水トップコート、付帯部分の補修と塗装の見積ご依頼を頂きました。大変有難うございました。
うまくシーベースに辿り着かれた方は非常にラッキーだと思います。塗装業界は結構いい加減な業者も多く、中にはかなり適当な工事をしてトラブルを起こしている業者も多いので優良な塗装業者を探すのは大変です。
早速現状調査に伺いました。静かな住宅地に立つ築10年の3階建てで、初めての塗装工事との事でした。
大きなお住まいでシンプルなデザインでした。西面は敷地いっぱいに建てられており敷地内から足場を組み上げて行くとなかり作業に支障が出てしまいそうな感じがしました。
大屋根は5寸勾配(水平方向に10対垂直方向に5の割合の勾配)とやや急でスレート瓦(セメントや骨材に繊維材料を混ぜて高圧プレスし塗装した屋根材で、薄く軽いため耐震性に優れている)になっていました。スレート瓦は一部欠けが有るとの事でした。塗装膜は弱って変色していました。
屋根板金には釘浮きが見られました。釘浮きをそのまま放置したり、ただ打ち直すだけでは、再び釘が浮いたり抜けてしまうことがあります。そうなると、雨水が釘を伝って板金内部の貫板(厚さ約12mmの杉板)に染み込み、木材が腐食してしまう恐れがあります。これを防ぐためには、塗装作業時に釘を打ち込んで再び浮いて来ぬ様に釘頭をコーキングで留める等の処理をして、雨水が浸入しないようにしっかりと対策を取ることが非常に重要です。
屋根板金のジョイント部分はシーリングがされていないため雨水が侵入し易くなっています。シーリングというのは竣工時に限らず、経年劣化や建物の歪みによって発生する隙間や穴、ひび割れなどを埋めて塞ぐ事です。
これらの隙間やひび割れから侵入した雨水は、屋根の下に敷かれているアスファルトルーフィングに流れ込みます。アスファルトルーフィングというのは、紙や不織布にアスファルトを染み込ませた防水材で、雨漏りを防ぐための重要な役割を果たしています。この材料は一般的に防水紙や防水シートとも呼ばれ、屋根瓦の下に敷かれることで、万が一屋根瓦が破損したり、強風で瓦の隙間から雨水が漏れた場合でも、その下の野地板(屋根瓦を支えるための板)に雨水が染み込むのを防ぎます。
アスファルトルーフィングはその防水性能によって、屋根全体を保護する重要な部分ですが、一般的な住宅に使用されているアスファルトルーフィングは、寿命が7~8年程度なのです。経年劣化が進むとアスファルト成分が熱で徐々に蒸発し、防水機能を失っていきます。その結果元々の防水性を持たない、非常に脆弱な状態になり、まるで新聞紙のようにペラペラになってしまいます。この状態になると、雨水はアスファルトルーフィングを通過し、最終的にその下に敷かれた野地板に浸透します。
野地板は屋根の構造を支える重要な部分であり、木材でできているため、雨水が長期間染み込むことにより腐敗が進行します。腐った野地板は、屋根の強度を大きく損なう原因となります。さらに、腐敗した木材がカビや菌の繁殖を引き起こし、これが屋内に悪影響を及ぼす可能性もあります。修繕にかかる費用や工事の範囲も広がり、早期の対処が求められます。
このように屋根板金の釘浮きやジョイントの隙間を放置すると、屋根の構造全体に深刻な影響を及ぼすため、定期的な点検と早期の修繕が非常に重要です。
破風・鼻隠はセメント板でジョイント部分にやや隙間が見られました。軒天はケイ酸カルシウム板が使用されており、劣化状態は標準的でした。
外壁は窯業系サイディングが使用されておりドイツ張りになっていました。窯業系サイディングというのは、セメントと繊維質を混ぜた原料を板状の型で成形し、凹凸のパターンを付けて高温・高圧の環境で圧縮して固めた建材です。この材料は焼いて作るものではないため、焼成過程を経ていない分、湿気の影響を受けやすく、変形や膨張を引き起こすことがあります。また、吸水性があるため、長時間の水分接触や湿気の影響で脆くなることがあります。劣化が進行する前に補修や対策が必要です。
ドイツ張りというのは幅の細い板を横方向に重ねながら張って仕上げる工法で、欧米の木造建築に良く見られ、日本でも「鎧張り」や「下見板」、「横羽目(よこなめ)」等と呼ばれている工法です。コーナーは板金になっていました。
外壁はひび割れやチョーキングも発生していました。チョーキングとは、別名「白亜化」とも呼ばれ、塗装表面が紫外線や熱、雨、風などの外的要因によって劣化することにより、塗料の色成分である顔料がチョーク(白墨)のように粉状になる現象です。これは、塗膜が劣化して機能を失い、表面が乾燥しうると雨水を弾かなくなる状態を指します。チョーキングが進行すると塗装表面が雨水を撥水しにくくなってしまうため雨水の吸収と乾燥を繰り返すと非常に脆くなり変形を起こします。塗装を再施行しても、表面の粉状の部分と一緒に塗膜が剥がれやすくなり、塗装の持ちが悪くなってしまいます。その結果、再塗装を行っても効果が持続せず、早期に再度塗り直しが必要になります。
シーベースでこの様な状態に塗装する場合は高圧洗浄で十分に劣化塗装膜を落とし下塗材をたっぷりと吸わせて下地を補強してから本塗装を行うので長持ちします。
窓周りは飾り板が貼られていましたが密度の低い窯業系のボートが使用されていたため塗装が弱って雨水を吸い乾いてはまた雨水を吸いを繰り返してしまったためボロボロに崩れてしまった箇所が多く見られました。
樋はジョイント部分から雨漏りしており全体に劣化が見られました。これは紫外線や雨水による影響で素材である塩化ビニールが変質します。これを加水分解といいます。樋自体が脆くなり、ひび割れや破損のリスクが高まります。定期的な塗装でこのような劣化をある程度軽減する事が可能です。
バルコニーはFRP(繊維強化プラスチック)防水になっていました。何社か合い見積もりになるとの事でしたが安いという事にとらわれずに良質で丁寧な施工を行う優良な業者をお選び頂きたいと思います。見積書の作成には約1週間掛かります。宜しくお願いします。