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さいたま市岩槻区のR様へ屋根塗装と外壁塗装、付帯部分の塗装の見積説明に伺いました。熱心にお聞き下さり大変有難うございました。
静かな環境の立地で築30年の2階建てで初めての塗装工事です。築30年で初めての塗装と言うのはかなり遅過ぎたと思いましたが中古で現状のまま昨年購入したとの事でした。
屋根はスレート瓦で釘浮きや釘の抜け落ち、棟板金のジョイントの隙間も見られました。下屋根はケラバ部分では板金がスレート瓦を包んでおらず板金と瓦との間に隙間が有るため雨水が侵入し易くなっていました。通常の雨なら何とか雨押から雨水は流れ落ちるのですが大雨では雨押を越えてその下のアスファルトルーフィングに流れてしまいます。
ケラバと言うのは切妻屋根(屋根の最頂部である棟から地上に向かって二つの傾斜面が山形の形状をした屋根で2面だけで屋根が構成される、シンプルな屋根形状)の端で斜めに降りる部分の事です。
屋根はスレート瓦の下にアンテナコードが挟まっており問題でした。また全体的にかなり苔が発生しており殆ど撥水していない状態でした。釘浮を放置したり、ただ打込んだだけだと徐々にまた抜けて来ます。すると雨水が釘を伝って板金内部の貫板(厚さ約12mmの杉板)に染み込み木を腐らせてしまいます。棟板金のジョイントでは浮いてしまっている箇所が有りました。これ等の箇所は強風に煽られて棟板金そのものが捲れたり飛ばされたりする事が有るので注意が必要です。
ジョイントの隙間からも雨水は侵入します。この部分からの雨水はスレート瓦の下のアスファルトルーフィングに流れてしまいます。
アスファルトルーフィングというのは紙にアスファルトを染み込ませ雨もりを防ぐための物で防水紙や防水シート等とも言われています。屋根瓦の下に敷き屋根瓦が欠けたり強風で雨水が屋根瓦の隙間から下に落ちてもその下の野地板(屋根瓦を乗せるための板)に雨が染み込む事を防ぎます。
ただ一般的な住宅等で使用されている物は寿命が7~8年の物が多く、経年劣化でアスファルトが蒸発してしまい、ただの新聞紙の様になってしまいます。こうなると侵入した雨水はその下の野地板に染みて腐れの原因になります。
屋根は釘浮きの補修や釘頭のコーキングによる留め、板金のジョイントのシーリングをしてからエスケー化研株式会社のクールタイトシリコン遮熱塗料での塗装をお勧めしました。
これは太陽光の反射率が高いため、建物内部に熱さが溜まりにくい性質が有ります。僅かですが室温を下げてくれます。屋根材の太陽光と熱によるダメージも軽減されます。またこの塗料はさいたま市より補助金が支給されるため僅かですがお客様のご負担も減る製品です。
鼻隠はセメント板でジョイント部分にひび割れや隙間が見られました。ここから雨水が侵入すると内部に溜った湿気によるカビ等が発生する場合があります。ひび割れや隙間を補修してからリーンマイルドシリコンでの塗りかえをお勧めしました。
軒天は非常に珍しいプリントベニヤ板製でした。劣化の激しい部分はプリントが無くなっており、一部剥離も見られました。
プリントベニヤ板は塗料を弾いてしまうため塗装は見積に計上しませんでしたが、ご希望の場合は剥がれ易い事を前提で、特殊なプライマー(接着剤)を塗布し、日本ペイント株式会社のケンエースGⅡでの塗りかえをお勧めしました。
外壁は窯業系のパネル(セメントと繊維質、混和材を主原料にして練り、板状に高熱で圧縮形成した物)に塗装でスタッコのパターンが付けられていました。
スタッコと言うのは吹き付けた後で塗装面が柔らかいうちにローラーやコテで押さえる等して表面を凹凸の有る粗面状態に仕上げる事で、厚みも付くため丈夫で立体感のある重厚な壁面の雰囲気を出しています。
外壁の塗装膜はチョーキングやひび割れ、隙間の発生が見受けられました。チョーキングというのは白亜化(はくあか)とも言い、塗装表面が紫外線や熱、雨、風等で塗膜が劣化し、塗料の色成分の顔料がチョーク(白墨)の様な粉状になる事、つまり塗膜が死んでしまい雨を弾かなくなっている状態の事を言います。これがあまり酷くなると、塗装しても表面の粉状の物と一緒に剥がれ易くなるため長持ちしなくなってしまいます。
外壁は、ひび割れや隙間を補修してから同社のパーフェクトトップでの塗りかえをお勧めしました。
樋も変色やジョイント部分に隙間が有り雨水が流れ出た痕が見られました。材質そのものも脆くなって来ていました。これは加水分解によるものです。加水分解と言うのは水と反応して分解を起こしてしまう事で、空気中の窒素、紫外線、微生物、空気に含まれる水分等で起きてしまいます。
雨戸は劣化によりかなり変色が進んでいました。これ等樋や雨戸は目荒らしをしてからクリーンマイルドシリコンでの塗りかえをお勧めしました。
目荒らしというのはサンドペーパーやナイロンタワシで表面を擦り微細な傷を付ける事です。古い塗装面も同様の作業を行って、劣化塗膜を除去します。この場合はケレンと言います。錆落としの作業もケレンと言います。
表面に微細な傷が付くと塗膜と基材の接触面積が大きくなり、塗料の吸着力が良くなって結果的に塗装が長持ちします。仕上がりも滑らかに美しく塗り替えられます。
逆にケレンや目荒らしが不十分だと塗膜剥離が起こり易くなります。手抜き工事等で良く見られる現象です。シーベースではこの工程をきちんと行うために美しく仕上がるだけでなく長持ちします。
窓周りのシーリング部分はコーキングが見られず、おそらくコーキングの上から吹き付け塗装をしたからだと思います。
シーリングというのは竣工時にはもちろん、経年劣化や建物が歪んだ時にできる隙間や穴、ひび割れ等が生じて雨水が侵入し易い箇所をコーキング等で埋めて塞ぐ事です。現状では問題無いため見積はオプションとしました。
基礎は化粧モルタルの割れが見られました。化粧モルタルだけなのでこの部分は見積から省いています。
何社か見積を取られているとの事で、シーベースが一番早く提出と説明に伺った様です。
価格が安いという事にとらわれずしっかりとした補修を丁寧に行う優良な塗装業者をお選び頂きたいと思います。