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上尾市のB様邸で外壁塗装、コーキングの打替、雨もり補修が完工しました。B様は先日屋根塗装や外壁塗装が完工したお隣様のH様からのご紹介です。H様、大変有難うございました。
うまくシーベースに辿り着かれた方は非常にラッキーだと思います。手前味噌になりますがシーベースの様に下地処理を丁寧に行い、美しくかつ長持ちする塗装を行う業者はごく僅かです。塗装業界は結構いい加減な業者も多く、中にはかなり適当な工事をしてトラブルを起こしている業者も多いので優良な塗装業者を探すのは大変です。
環境の良い住宅地に立つ築12年の2階建てで、初めての塗装工事です。室内はとても素敵な洒落た作りで羨ましく思いました。
ご近所の皆様には足場の設置や解体、高圧洗浄等で煩くなり、ご迷惑をお掛けしました。
雨もりにお悩みで3か月前にハウスメーカーで雨が染み出ている窓周りのコーキングを行ったが直らなかったとの事でした。このハウスメーカーは本質的な原因に気付かなかった様です。
現状調査に伺って直ぐに雨もりの原因が分かりました。今回の一番大きな原因は屋根の野地板と外壁の取合部分からの侵入です。雨もりは雨が落ちて来る場所が原因とは限りません。まったく違った箇所から侵入した雨水は梁や柱等を伝い伝って徐々に低い方へと落ちて行き、一番溜り易い所から落ちるからです。
雨もりに気付かずにいると内部の建材が雨水を吸ってなかなか乾かずにいるとカビが生えたり脆くなってしまったり、木材も腐ってしまったりするので注意が必要です。
屋根はガルバリウム鋼板を用いた三晃式でした。ガルバリウム鋼板というのは、鉄の鋼板にアルミニウムと亜鉛の合金をメッキで蒸着させたものです。アルミニウムの耐食性と亜鉛の犠牲防食(ぎせいぼうしょく)作用、自己修復作用により従来の溶融亜鉛めっき鋼板に比べ腐食に強くなっています。ですからトタン屋根やスレート瓦、セメント瓦等と異なり塗装は20年後位に行えば良いのです。ただ施工中に傷を付けてしまうとそこから錆が出る場合が有ります。錆が発生すると半年から1年程度で穴が空いてしまうので築10年程度で状態の確認は必要です。
三晃式というのは金属屋根葺き工法のひとつの形式で、野地板の流れ方向(棟から軒先に向かう方向)に取り付けられた心木の無い桟を覆うようにキャップを取り付けて固定する工法の事です。桟木と桟木の間の板を「どぶ板」、桟木にかぶせられたものを「キャップ」と言います。
屋根の棟は何枚かの鋼板を繋げて有りましたが、ジョイント部分にシーリングが無いので強風の時には雨水が侵入してしまう可能性が有ります。
この部分からの雨水は鋼板の下のアスファルトルーフィングに流れて行きます。アスファルトルーフィングというのは紙にアスファルトを染み込ませ雨もりを防ぐための物で防水紙や防水シート等とも言われています。隙間から雨水が侵入しても、その下の野地板(鋼板を乗せるための板)に雨が染み込む事を防ぎます。
ただ一般的な住宅等で使用されている物は寿命が7~8年の物が多く、経年劣化でアスファルトが蒸発してしまい、ただの新聞紙の様になってしまいます。こうなると侵入した雨水はその下の野地板に染みて腐れの原因になります。幸い棟に良く見られる釘浮きは無く、雪止めや鋼板に異常は有りませんでした。
屋根形状は切妻でした。切妻屋根というのは最頂部である棟から下方向に向かって二つの傾斜面が山形の形状をした屋根で2面だけで屋根が構成されるシンプルな屋根形状の事です。
通常、屋根の下に有る破風・鼻隠や軒天が有りませんでした。野地板と外壁は直に繋がっていました。また屋根の軒先も殆ど無いためシーリングが劣化すると雨水が進入しやすい構造になっていました。今回の雨もりもこれが一番大きな原因です。B様のお話では雨もり箇所は1ヶ所との事でしたが恐らく東西とも同様の構造なのであちこちから侵入していると思われます。
シーリングというのは竣工時にはもちろん、経年劣化や建物が歪んだ時にできる隙間や穴、ひび割れ等が生じて雨水が侵入し易い箇所をコーキング等で埋めて塞ぐ事です。今回は各取合部分に通常の1.5倍から倍位たっぷりと充填しました。使用したのはオート化学工業株式会社のオートンイクシードです。このコーキングは非常に柔らかく接着力も強いため20年位の耐久性を持っています。国内ではトップクラスの耐久性です。
外壁は2種類の窯業系サイディングで造られていました。窯業系サイディングと言うのはセメントと繊維質を混ぜた原料を板状の型でパターンの凹凸を付けて圧縮し、高温・高圧の中で固めた物です。焼いて作るものではないため湿気で変形したり長期間の吸水と乾燥で脆くなったりします。
現状調査の際にたまたま雨が降って来たのですが表面の塗装膜が劣化していたため雨水の撥水性がかなり低下している事が分りました。北側は大分汚れや苔も見られました。
ベランダ側の外壁コーナーのジョイント部分は隙間が発生しており、雨水が侵入していました。外壁本体のジョイントコーキングは固くなり隙間も見られ寿命が来ていました。いつ剥がれてもおかしくない状態でした。これが原因で外壁の端の部分はダメージを受けていると思われます。
窯業系サイディングは雨水の侵入と乾燥を繰り返していると元の粉に戻ってしまったり、脆くなってボロボロに崩れてしまうので定期的な塗装やシーリング等のメンテナンスは欠かせません。
外壁塗装はジョイントのシーリングを行ってから本体部分を日本ペイント株式会社のパーフェクトトップ/ND-174 白っぽいクリーム色でベランダ部分はパーフェクトトップ/日塗工15-20B濃い茶色で塗りかえました。現状の色彩に近い色になります。
シャッターボックスや水切等の鉄部もやや劣化により変色が見られました。この部分は目荒らしをしてからエスケー化研株式会社のクリーンマイルドシリコン/サッシ色の近似色で塗りかえました。
目荒らしというのはサンドペーパーやナイロンタワシで表面を擦り微細な傷を付ける事です。古い塗装面も同様の作業を行って劣化塗膜を除去しました。この場合はケレンと言います。錆落としの作業もケレンと言います。
表面に微細な傷が付くと塗膜と基材の接触面積が大きくなり、塗料の吸着力が良くなって結果的に塗装が長持ちします。仕上がりも滑らかに美しく塗り替えられます。
逆にケレンや目荒らしが不十分だと塗膜剥離が起こり易くなります。手抜き工事等で良く見られる現象です。シーベースではこの工程を丁寧にきちんと行うために美しく仕上がるだけでなく長持ちします。
樋はジョイント部分の隙間から雨水の漏れが見られました。樋受け金物は外壁のジョイントコーキングの上に刺さっていました。これは問題です。この部分のコーキングは定期的に打ち換える必要が有るからです。この様な位置に取り付けてしまうとコーキングを打ち換えるスペースが無いので出来ません。ハウスメーカーはもう少し気を付けて施工して欲しいものです。
樋はジョイント部分の隙間を補修してからクリーンマイルドシリコン/白色に近いライトグレーで塗りかえました。
ベランダのFRP(繊維強化プラスチック)防水床は隅々までチェックしましたが、基材に問題は無く、トップコートも僅かな劣化なので今回、塗装はご不要です。
足場が無くなると美しく生まれ変わったお住まいが姿を現しました。外壁本体とベランダ外壁のコントラストもとてもきれいです。
長い間ご不便をお掛けしました。これで雨もりからは解放されたと思います。仕上がりにご満足頂けた事を大変嬉しく思います。大変有難うございました。