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さいたま市西区のK様より屋根塗装と外壁塗装、コーキングの打替、バルコニーの防水、付帯部分の補修と塗装の見積ご依頼を頂きました。大変有難うございました。
早速現状調査に伺いました。少し風が有るものの快晴で心地よい気温の中での調査で気持ち良く隅々までチェックする事が出来ました。
K様のお住まいは住宅地に立つ築29年の2階建てで2回目の塗装工事です。前回の塗装はかなり費用を抑えたとの事でした。拝見してなるほど・・・と、感じました。
屋根はスレート瓦(セメントや骨材に繊維材料を混ぜて高圧プレスし塗装した屋根材で、薄く軽いため耐震性に優れている)が使用されており、塗装膜はかなり劣化していました。また、屋根板金に若干の釘浮きが見られました。釘浮きをそのまま放置したり、ただ打ち直すだけでは、再び釘が浮いたり抜けてしまうことがあります。そうなると、雨水が釘を伝って板金内部の貫板(厚さ約12mmの杉板)に染み込み、木材が腐食してしまう恐れがあります。これを防ぐためには、塗装作業時に釘を打ち込んで再び浮いて来ぬ様に釘頭をコーキングで留める等の処理をして、雨水が浸入しないようにしっかりと対策を取ることが非常に重要です。
屋根板金のジョイント部分はシーリングがされていないため雨水が侵入し易くなっています。シーリングというのは竣工時に限らず、経年劣化や建物の歪みによって発生する隙間や穴、ひび割れなどを埋めて塞ぐ事です。
これらの隙間やひび割れから侵入した雨水は、屋根の下に敷かれているアスファルトルーフィングに流れ込みます。アスファルトルーフィングというのは、紙や不織布にアスファルトを染み込ませた防水材で、雨漏りを防ぐための重要な役割を果たしています。この材料は一般的に防水紙や防水シートとも呼ばれ、屋根瓦の下に敷かれることで、万が一屋根瓦が破損したり、強風で瓦の隙間から雨水が漏れた場合でも、その下の野地板(屋根瓦を支えるための板)に雨水が染み込むのを防ぎます。
アスファルトルーフィングはその防水性能によって、屋根全体を保護する重要な部分ですが、一般的な住宅に使用されているアスファルトルーフィングは、寿命が7~8年程度なのです。経年劣化が進むとアスファルト成分が熱で徐々に蒸発し、防水機能を失っていきます。その結果元々の防水性を持たない、非常に脆弱な状態になり、まるで新聞紙のようにペラペラになってしまいます。この状態になると、雨水はアスファルトルーフィングを通過し、最終的にその下に敷かれた野地板に浸透します。
野地板は屋根の構造を支える重要な部分であり、木材でできているため、雨水が長期間染み込むことにより腐敗が進行します。腐った野地板は、屋根の強度を大きく損なう原因となります。さらに、腐敗した木材がカビや菌の繁殖を引き起こし、これが屋内に悪影響を及ぼす可能性もあります。修繕にかかる費用や工事の範囲も広がり、早期の対処が求められます。
このように屋根板金の釘浮きやジョイントの隙間を放置すると、屋根の構造全体に深刻な影響を及ぼすため、定期的な点検と早期の修繕が非常に重要です。
建物も温度や湿度、時間とともに変形することにより、外壁や窓周りなどに隙間ができ、これも雨水の侵入を引き起こす原因になります。シーリングは、こうした隙間をコーキング材などでしっかりと埋め、雨水が内部に浸入するのを防ぐ役割を果たします。この作業を行うことで、建物の耐久性を維持し、内部の腐食やカビの発生を防ぐことができます。
軒天にはケイ酸カルシウム板が使用されていました。ケイ酸カルシウム板は耐火性に優れた材料ですが、内部に湿気が溜まると、その湿気が外に逃げようとする過程で、板の表面に黒ずみが発生することがあります。この黒ずみは、湿気が内部にこもり、それが抜け出ようとしてとして表面に現れるものです。軒天部分にあちこちに黒ずみが見られるということは、湿気の問題があることを示しており、このままだとカビの発生や材木の腐れなどの劣化が進む可能性があります。
鼻隠しは板金で覆われていました。ほとんどの塗装膜に剥がれが見られました。放置するとサビや腐食の原因になります。主な原因は紫外線や雨風による劣化、湿気の影響などですが、この場合は施工不良です。
外壁は窯業系サイディングが使用されており、ツートンカラーで仕上げられていました。窯業系サイディングというのは、セメントと繊維質を混ぜた原料を板状の型で成形し、凹凸のパターンを付けて高温・高圧の環境で圧縮して固めた建材です。この材料は焼いて作るものではないため、焼成過程を経ていない分、湿気の影響を受けやすく、変形や膨張を引き起こすことがあります。また、吸水性があるため、長時間の水分接触や湿気の影響で脆くなることがあります。劣化が進行する前に補修や対策が必要です。
また、チョーキングも発生していました。チョーキングとは、別名「白亜化」とも呼ばれ、塗装表面が紫外線や熱、雨、風などの外的要因によって劣化することにより、塗料の色成分である顔料がチョーク(白墨)のように粉状になる現象です。これは、塗膜が劣化して機能を失い、表面が乾燥しうると雨水を弾かなくなる状態を指します。チョーキングが進行すると塗装表面が雨水を撥水しにくくなってしまうため雨水の吸収と乾燥を繰り返すと非常に脆くなり変形を起こします。塗装を再施行しても、表面の粉状の部分と一緒に塗膜が剥がれやすくなり、塗装の持ちが悪くなってしまいます。その結果、再塗装を行っても効果が持続せず、早期に再度塗り直しが必要になります。
2階と1階の間はモールで仕切られていました。こちらも塗装が殆ど接着しておらず荒れた状態でした。一度いい加減な施工をしてしまうと次回の塗装工事の際に不良塗装膜を剥がさねばならず、大変な手間と費用が掛かります。この辺も考えて工事内容や費用の検討をする必要が有ります。
外壁と外壁の取合はコーキングでシーリングされていますが殆ど全滅状態でしたので打替が必要です。
樋も劣化が進み、変色していました。この変色は、紫外線や雨水による影響で塗装膜が劣化するからです。素材である塩化ビニールも同様の原因で変質します。これを加水分解といいます。樋自体が脆くなり、ひび割れや破損のリスクが高まります。定期的な塗装でこのような劣化をある程度軽減する事が可能です。その他、部分的に横樋のジョイントが割れて外れかかっている箇所もありました。
縦樋の取り付け位置にも問題が有りました。全て樋受金物が外壁の縦目地コーキング部分に刺さって取り付けられていました。コーキングは柔らかいため、取り付けは簡単かもしれませんが、時間が経つと歪みが生じます。さらに、メンテナンス時にはコーキングの打ち替えができず、樋の取り外しが必要になることもあります。ハウスメーカーは、家を長持ちさせるためにどのような施工が必要かを十分に考え、メンテナンス性を確保すべきです。
エアコンホースホールのコーキング部分はきちんと施工されていないため隙間が生じており、雨水の浸入が懸念されます。
雨戸や霧除、水切等の鉄部も塗装膜の劣化が進んでいました。厚みは0.2~0.3mm程度なので錆が見られるとあっという間に穴が空いてしまう事があるので、こちらも塗りかえが必要です。
全体的に大分劣化が進んでいました。虫歯に例えると表面のエナメル質が傷んで、象牙質も浸食され神経まで侵されている状態でした。できるだけ早期の補修をお勧めします。
見積書の作成に1週間から10日程頂きたいと思います。宜しくお願いします。