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さいたま市北区のK様より屋根塗装と外壁塗装、付帯部分の補修と塗装、コーキングの打替、バルコニーFRP(繊維強化プラスチック)防水トップコートの見積ご依頼を頂きました。大変有難うございました。K様は昨年9月に工事をさせて頂いたK様のお隣様でした。
ご近所で塗装工事が有ると実際に施工する職人達や仕上がりの状態を見る事が出来るので安心だと思います。
こうして株式会社 シーベースに辿り着かれた方は非常にラッキーだと思います。塗装業界は結構いい加減な業者も多く、中にはかなり適当な工事をしてトラブルを起こしている業者も多いので丁寧に補修し下地処理をしっかりと行って長持ちする施工をする優良な塗装業者を探すのは大変です。
早速現状調査に伺いました。いつまでも酷暑が続き、汗を掻き掻き写真を撮りました。
ハウスメーカーはT社で、環境の良い住宅地に立つ築20年の2階建てで初めての塗装工事です。
屋根はスレート瓦でニチハ株式会社のパミールで、層間剥離を起こしていました。この製品は石綿が使用されなくなってからの製品で強度に問題が有る屋根材です。棟板金は釘浮きやジョイントの隙間が多数見られました。
層間剥離というのは何重にも重なっている層が分離して膨らんでしまった状態の事です。それぞれの層が薄くなってしまっているためバリバリに割れていました。
これはとても厄介でシーベースの技術力ならば塗装でも可能ですが、通常はカバー工法等で葺替が必要になる案件です。
板金の釘浮を放置したり、ただ打込んだだけだと徐々にまた抜けて来ます。すると雨水が釘を伝って板金内部の貫板(厚さ約12mmの杉板)に染み込み木を腐らせてしまいます。棟板金のジョイントでは折り曲げ加工部分がきちんと咬み合わせがされていなかったので浮いてしまっている箇所が有りました。これ等の箇所は強風に煽られて棟板金そのものが捲れたり飛ばされたりする事が有るので注意が必要です。
ジョイントの隙間からも雨水は侵入します。この部分からの雨水はスレート瓦の下のアスファルトルーフに流れてしまいます。
アスファルトルーフィングというのは紙にアスファルトを染み込ませ雨もりを防ぐための物で防水紙や防水シート等とも言われています。屋根瓦の下に敷き屋根瓦が欠けたり強風で雨水が屋根瓦の隙間から下に落ちてもその下の野地板(屋根瓦を乗せるための板)に雨が染み込む事を防ぎます。
ただ一般的な住宅等で使用されている物は寿命が7~8年の物が多く、経年劣化でアスファルトが蒸発してしまい、ただの新聞紙の様になってしまいます。こうなると侵入した雨水はその下の野地板に染みて腐れの原因になります。
破風・鼻隠はセメント板で全てのジョイント部分に隙間が見られました。ここから雨水が侵入すると内部に溜った湿気によるカビ等が発生する場合があります。
雨水が隙間から侵入すると内部でカビが生えたり、湿気が抜け出ようとしてケイ酸カルシウム板の軒天から黒ずみが出てきます。
外壁は2種類の窯業系サイディング(セメントと繊維質、混和材を主原料にして練り、板状に圧縮形成した物)でした。
外壁は2パターンが有り、1つは模様のきれいな意匠サイディング、もう一つは凹凸の有るサイディングでした。通常意匠サイディングにクリア塗装(透明な塗料を使用して元の風合いを損なわぬ様に塗装する方法)を行えるのは築12~13年位です。それを過ぎると経年劣化で退色や変色、汚れの染み付き等でクリア塗装が出来なくなる場合が有ります。これも何とかシーベースならクリヤー塗装も可能です。
外壁は釘で内部の胴縁に固定されていましたが。釘の周囲の外壁にはひび割れが見られました。
胴縁というのは外壁材を固定するための下地材のことで、角材や板状です。柱や間柱(柱と柱との間に入れる垂直材)との間に300~455mmの間隔で入れるのが一般的です。
胴縁には、垂直方向に入れるものを縦胴縁、水平方向に入れるものを横胴縁があります。こちらのお住まいでは縦に入っていました。外壁はかなり脆くなっていますが、きちんと留めなければなりません。もう片方は単色のサイディングでした。
外壁のジョイントコーキングは全滅していました。ほとんどの箇所でひび割れや剥離が起こっていました。
窯業系のサイディング外壁にとってコーキングは生命線です。コーキングの劣化によってジョイントから雨水が侵入し、乾燥してまた雨水が侵入し・・・を繰り返しているうちに木口の部分は粉に戻ってしまったり脆くなってボロボロに崩れてしまったりするからです。また劣化が進んでしまうと新しくコーキングを打っても粉になった部分とは接着が甘くなるので剥離し易くなってしまいます。
バルコニーは2箇所有り、FRP(繊維強化プラスチック)防水床は隅々までチェックしましたが基材に問題は有りませんでした。片方には庇が付けられていましたが、両方とも表面のトップコートは寿命が来ていました。
樋も変色やジョイント部分に隙間が有り雨水が流れ出た痕が見られました。材質そのものも脆くなって来ていました。これは加水分解によるものです。加水分解と言うのは水と反応して分解を起こしてしまう事で、空気中の窒素、紫外線、微生物、空気に含まれる水分等で起きてしまいます。
これが酷くなると割れてしまう事が有り交換が必要になる事が有ります。樋の交換費用は意外と掛かるもので建坪約100㎡程度のお宅の場合足場代も含めると50万円前後掛かります。
困った事に縦樋の受金物が外壁の縦目地コーキングの中に刺さっていました。これは問題です。これではこの部分のコーキングの打替が出来なくなってしまうからです。もちろん縦樋を外せば打ち換えられるのですが排水部分は地面の中に有るため、撤去復旧には7万円前後余計に費用が発生してしまいます。
またこの様な施工では金物の釘は外壁の裏側の僅か0.2mmのアルミ製ジョイントハットに刺さっているため、ジョイントハットを変形させたり縦樋自体が重力で下がってしまい横樋を下へ引っ張って落としてしまいます。ハウスメーカーは建てるだけでなく将来のメンテナンスの事も考えて受金物の取り付け位置を外壁の縦目地から4cm前後は離れた位置に取り付ける等きちんとした施工をして欲しいと感じました。
シャッターボックスや水切等の鉄部も表面の塗装膜の劣化が進んでいました。
基礎から出ている塩化ビニール配管周りはシーリングがされていませんでした。シーリングというのは竣工時にはもちろん、経年劣化や建物が歪んだ時にできる隙間や穴、ひび割れ等が生じて雨水が侵入し易い箇所をコーキング等で埋めて塞ぐ事です。
この部分から雨水が侵入してしまうと内部はベタ基礎(建物の底面全体に鉄筋コンクリートを流し込んだ基礎の事)に雨水が溜ってしまい湿気が抜けにくくなってしまいます。
お客様と打合せをしていると毛並みの良いかわいいネコちゃんが「何をしているのかな~」と、言う様な顔でずっとこちらを見つめていました。怪しい者ではございません。
全体的に大分劣化が進んでいました。虫歯に例えると表面のエナメル質が傷んで、象牙質も浸食され神経まで侵されている状態でした。できるだけ早く補修した方が良いと思います。
見積書の作成に1週間位頂きたいと思います。宜しくお願いします。