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さいたま市大宮区のN様より屋根塗装と外壁塗装、付帯部分の補修と塗装、コーキングの打替、バルコニーFRP(繊維強化プラスチック)防水トップコートの見積ご依頼を頂きました。大変有難うございました。
N様はさいたま市内にお住まいの弟様からのご紹介でした。ご紹介ですと実際に施工する職人達や仕上がりの状態等の情報が得られるので安心だと思います。
こうして株式会社 シーベースに辿り着かれた方は非常にラッキーだと思います。塗装業界は結構いい加減な業者も多く、中にはかなり適当な工事をしてトラブルを起こしている業者も多いのです。プロペイント、塗装と防水の専門業者の中で、丁寧に補修し下地処理をしっかりと行って長持ちする施工をする優良な塗装業者を探すのは大変です。
早速現状調査に伺いました。相変わらず酷暑が続き、汗を掻き掻き写真を撮り、お住まいを点検しました。
ハウスメーカーはS社で、落ち着いた住宅地に立つ築24年の2階建てで屋根塗装と、バルコニーの防水トップコートは2回目、外壁塗装や付帯部分の塗装は初めてとの事でした。
屋根はスレート瓦で前回の塗装膜は殆ど劣化していました。どうも水性塗料を使用した可能性が有ります。
屋根の塗料は溶剤系の方が水性に比べて約2倍位耐久性が有るので、出来れば溶剤系を使うべきでした。一度水性塗料で塗ってしまうと、その上に溶剤系塗料を塗る事は難しくなってしまいます。と、言うのは水性塗料に溶剤系塗料を塗り重ねるとリフティングという溶解現象が起こってしまうからです。
また問題は前回の塗装業者はベタ塗りをしてしまったため、瓦と瓦の取合部分に塗料の目詰まりが見られました。そのため湿気が内部に溜ってしまい、苔の吹き出しがみられました。
今回の塗装ではタスペーサーなどのスペーサーを入れた方が良いと思いました。
タスペーサーというのは株式会社セイムの屋根塗装用部材で屋根瓦が上下に重なっている隙間から雨水の排出がされやすい様にするためのポリカーボネート製のクサビ形の部品です。通気も良くし下地の材木の腐れも起きにくくするための部材です。
屋根の棟板金は釘浮きやジョイントの隙間が多数見られました。板金の釘浮を放置したり、ただ打込んだだけだと徐々にまた抜けて来ます。すると雨水が釘を伝って板金内部の貫板(厚さ約12mmの杉板)に染み込み木を腐らせてしまいます。
ジョイントの隙間からも雨水は侵入します。この部分からの雨水はスレート瓦の下のアスファルトルーフに流れてしまいます。
アスファルトルーフィングというのは紙にアスファルトを染み込ませ雨もりを防ぐための物で防水紙や防水シート等とも言われています。屋根瓦の下に敷き屋根瓦が欠けたり強風で雨水が屋根瓦の隙間から下に落ちてもその下の野地板(屋根瓦を乗せるための板)に雨が染み込む事を防ぎます。
ただ一般的な住宅等で使用されている物は寿命が7~8年の物が多く、経年劣化でアスファルトが蒸発してしまい、ただの新聞紙の様になってしまいます。こうなると侵入した雨水はその下の野地板に染みて腐れの原因になります。
今回の塗装では一度テストを行いリフティングが起きなければ耐久性の有る溶剤系塗料をお勧めしたいと思います。
破風・鼻隠はセメント板で全てのジョイント部分にやや隙間が見られました。ここから雨水が侵入すると内部に溜った湿気によるカビ等が発生する場合があります。
破風・鼻隠の塗装面はやや荒れていますので、目荒らしを行ってから溶剤系シリコン塗料での塗りかえをお勧めしたいと思います。
雨水が隙間から侵入すると内部でカビが生えたり、湿気が抜け出ようとしてケイ酸カルシウム板の軒天から黒ずみが出てきます。
現状、この様な状態は見られず、比較的良好な状態でした。
外壁は窯業系サイディング(セメントと繊維質、混和材を主原料にして練り、板状に圧縮形成した物)でした。
ややチョーキングが進んでいました。チョーキングと言うのは、別名「白亜化」とも呼ばれ、塗装表面が紫外線や熱、雨、風などの外的要因によって劣化することにより、塗料の色成分である顔料がチョーク(白墨)のように粉状になる現象です。これは、塗膜が劣化して機能を失い、塗装表面が雨水を撥水しにくくなってしまうため雨水の吸収と乾燥を繰り返すと非常に脆くなり割れや変形を起こします。塗装を再施行しても、表面の粉状の部分と一緒に塗膜が剥がれやすくなってしまうため塗装の持ちが悪くなって効果が持続せず、再度塗り直しが必要になる事があります。シーベースでこの様な状態に塗装する場合は高圧洗浄で十分に劣化塗装膜を落とし下塗材をたっぷりと吸わせて下地を補強してから本塗装を行うので長持ちします。
僅かに塗装膜の剥離や欠損が見受けられました。
外壁のジョイントコーキングは比較的良い状態を保っており、剥離は僅かでした。窯業系のサイディング外壁にとってコーキングは生命線です。
コーキングの劣化によってジョイントから雨水が侵入し、乾燥してまた雨水が侵入し・・・を繰り返しているうちに木口の部分は粉に戻ってしまったり脆くなってボロボロに崩れてしまったりするからです。また劣化が進んでしまうと新しくコーキングを打っても粉になった部分とは接着が甘くなるので剥離し易くなってしまいます。
バルコニーのFRP(繊維強化プラスチック)防水床は隅々までチェックしましたが基材に問題は有りませんでした。表面のトップコートも比較的良好な状態を保っていました。
霧除はスチール製で塗装膜には劣化による変色が見られました。霧除を載せているベニヤ板は雨水の侵入により腐り始めていました。おそらく3mm程度の厚みまで腐っていると思われます。
早めに腐れ部分は除去しないと更に周囲と奥へと進んでしまいます。
樋も箇所によりやや変色やジョイント部分に隙間が有り雨水が流れ出た痕が見られました。材質そのものもやや脆くなって来ていました。これは加水分解によるものです。加水分解と言うのは水と反応して分解を起こしてしまう事で、空気中の窒素、紫外線、微生物、空気に含まれる水分等で起きてしまいます。
これが酷くなると割れてしまう事が有り交換が必要になる事が有ります。樋の交換費用は意外と掛かるもので建坪約100㎡程度のお宅の場合足場代も含めると50万円前後掛かります。
シャッターボックスや雨戸と水切等の鉄部も表面の塗装膜の劣化が進んでいました。そろそろ塗りかえが必要です。
基礎から出ている塩化ビニールホース周りはシーリングがされていませんでした。シーリングというのは竣工時にはもちろん、経年劣化や建物が歪んだ時にできる隙間や穴、ひび割れ等が生じて雨水が侵入し易い箇所をコーキング等で埋めて塞ぐ事です。
この部分から雨水が侵入してしまうと内部はベタ基礎(建物の底面全体に鉄筋コンクリートを流し込んだ基礎の事)に雨水が溜ってしまい湿気が抜けにくくなってしまいます。
霧除の木部の腐れ以外は全体的にはお住まいの状態は良好でした。もう4,5年早く外壁塗装を行っても良かったかと思いました。
細かく計算し、正確な見積書を作成するために1週間位頂きたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。
大変有難うございました。